2014-01-01から1年間の記事一覧

六義園 夜

少し前だけど、夜の六義園に月と紅葉を見に行った。毎年、紅葉の盛りの数週間はライトアップした上で夜も開園しているもの。 雨が降った翌日で空気は凍りそうに冷たかったが、それが朧な庭園の様子や冷たい月によく似合っていた。暗くぬかるんだ地面を歩いて…

銀座教文館書店

キリスト教系書店としてお馴染みの教文館ですが、四階のグッズショップに行ったのは初めてでした。「八本脚の蝶」に記述があったこのお店でメダイ、というものを見てみたくなったため。エインカレムという、何語か分からんが綺麗な店名。 入ってみると結構ゴ…

THE MIRROR - 名古屋商工会館

先週金曜の夜、銀座でTHE MIRRORと題された展覧会に行った。これは名古屋商工会館という取り壊しの決まっているビルをどうせならまるまる使って、色んなアーティストの作品を展示しようというもので、この手の試みは大体好きなのだけど案の定面白かった。 特…

八本脚の蝶 読了

知っていた結末とは言え、やっぱりとても悲しい。 最近この本の事を知って昨日初めて読み終えた自分には、まるでつい最近の出来事の様な気がしてしまう。ここに書かれている通り本が世界の似姿であるなら、それは勿論人間でもあるだろう。知りあったばかりの…

八本脚の蝶 - 二階堂奥歯

穂村弘さんがどこかで紹介していたのを何の気なしに図書館で借りて今半分位まで読んだところだけど、凄い。圧倒的な読書量から来る膨大な知識を下地として、哲学、文学、絵画、服飾などに纏わる広大なイメージの森を縦横無尽に飛び回る、幻の蝶。想像力と洞…

A LITTLE FABLE - ASPIDISTRAFLY

シンガポールのユニットで、これは2011年のアルバム。最近再発盤が出て知ったのだけど、この手のアルバムでは久しぶりにはまった。突出したレベルのアートワークと、ありえないくらいハスキーな女声ボーカルが非常に良い。場末のバーのママのような貫禄ある…

水槽、バレット・バレエ

画像と本編は全く関係なく、以下ただの愚痴です。 先日非常にくさる出来事があって、全くそのせいというわけでもないのだけど久しぶりにたちの悪い飲み方をして二日酔いになった。といっても僕の場合は次の日に来るのではなく、飲んだその日の夜中、ガンガン…

ボール - ヴァロットン

日曜美術館で取り上げられていたヴァロットンという画家の諸作が非常に良さそうで、展覧会に行きたい。もとはスイスの人らしいけど、欧州でも長く埋もれていて再評価されて広く知られる様になったのはここ最近のことらしい。(ただ番組によると、澁澤龍彦は…

地獄でなぜ悪い - 園子温監督

タランティーノは見たのだろうか。もし見てないなら今すぐ電話して知らせたい。二階堂ふみちゃんにギャル服着せて刀を持たせる事と、昨今のぬるい邦画界のただ中で例え血まみれになっても俺は俺の映画を撮るのだ!という園子温監督の宣言。物語などあって無…

アンビリーバブル・トゥルース - ハル・ハートリー監督

ハル・ハートリー鑑賞二作目。大傑作。これが処女作らしいけど、ありがちな詰め込み感やガチャつきは一切感じられない。それでも先に見たシンプルメンから考えると、これでもこの監督にしてはガチャついている方なのかもしれないが。 核による全ての破滅を恐…

シンプルメン - ハル・ハートリー監督

ハル・ハートリーという監督の名前は聞いたことがあった程度で作品は全然知らなかったが、ツタヤの発掘コーナーで見掛けたジャケットと粗筋が良さげだったのでレンタルして見てみたらこれが非常に良かった。当たり。世に出た当時はポストジャームッシュなん…

美しい日々 - バルテュス

先日、上野にバルテュス展を観に行った。 暗い室内の椅子にだらりと腰掛ける少女、猫。手鏡。展覧会には結構風景画なんかもあってそれも決して悪くなかったような気はするが、全く印象に残っていない。 奇妙にねじ曲がったようなポーズや、ベタッとしてまる…

Shiver - Lucy Rose

今期放送されているアニメの一つに「蟲師」という作品があって、そのオープニングに使われていたたため、この曲を知った。単純にとても良い曲であるのと、純和風な雰囲気のアニメのオープニングにこんな洋楽フォークを選んだスタッフのセンスなども相俟って…

ブルー・ジャスミン - ウディ・アレン監督

主演のケイト・ブランシェットがアカデミーで主演女優をとった話題作。銀座シネ・スイッチにて鑑賞。ウディ・アレンという人は本当に意地悪だと思う。40年代くらいの軽妙なスウィングに乗せて綴られる物語は滑稽でそれ以上に切実だ。幾つもの会社を経営する…

YOU - ART SCHOOL

アートスクールはセカンドの頃くらいまではよく聞いていたが、余りに何度も繰り返されるベタベタな退廃趣味、少女性への畏怖や憧憬といった広がりの無い歌詞世界に主に興味を失い、ながらく聞いていなかった。が、先日ふと目に入った本作を何となく試聴して…

filmachine - 渋谷慶一郎+池上高志 at 六本木ヒルズ52F

少し前に六本木ヒルズで開催されていたMedia Ambition Tokyoというテクノロジーアートのイベントに行った。もちろん以前から体験してみたかったfilmachineが目当てだったが、元々この手は好きな方なので全体的に楽しみにしていた。巨大なビルの52階というロ…

SENSE WISENESS - WISESENSEI

友人が貸してくれて最近よく聞いている。 初聴時は正直ピンとこなかったけど、ほとんどシンプルなベースとドラム、あとは音数少なめのピアノがたまに踊る位のスカスカと言っていいトラックに、迫力はあるのだけど決して高揚はしていかない、どこか抑圧された…

曇り

叔母が死んでしまった。先日京都で、また会おうねと言って手を振ったのが本当に最後になってしまった。 悲しい。でも、もっともっと後から後から、実感のようなものが押し寄せるのだろう。空しい。自分たちより一つ上の世代で最初に死んでしまったのは、より…

悪の教典 - 三池崇史監督

面白かった。原作小説は未読。若く男前で人望も厚い英語教師蓮実が、文化祭前夜に生徒達を殺戮する。伊藤英明は初めてまともに見たが、鍛え上げられた肉体やパット見お人好しそうな表情に鮫の様な目が張り付いている顔つきなど、非常にはまり役で素晴らしか…

鴨川

親族の結婚式に出席するべく久々に帰省。式場は京都だったのけれど、随分久しぶりに鴨川沿いなど歩いた。 結婚式に限らず式はあまり好きではないので基本的に不愛想することが多いのだが、近年大きく体調を崩してしまっている叔母が今回は病院を抜け出して、…

SOMEWHERE - ソフィア・コッポラ監督

最近「ブリング・リング」が公開されているソフィア・コッポラの前作。本作前のマリー・アントワネットが割と派手派手な絵面だった反動かどうかは知らないが、本作はとてもミニマルで静謐な作り。ホテルの室内で主人公がただ座っているのを固定カメラから1…

病める子 - エドヴァルド・ムンク

日曜美術館でムンクが再放送されていた。 この人の作品で有名なのは何と言っても「叫び」だろうが、本作のような傾向の作品も多く残しているようだ。彼は幼い頃に結核で母を亡くし、また思春期には一歳違いの姉を同じく結核で無くしている。この絵はその時の…