filmachine - 渋谷慶一郎+池上高志 at 六本木ヒルズ52F

f:id:when87:20140320194056j:plain

少し前に六本木ヒルズで開催されていたMedia Ambition Tokyoというテクノロジーアートのイベントに行った。もちろん以前から体験してみたかったfilmachineが目当てだったが、元々この手は好きな方なので全体的に楽しみにしていた。巨大なビルの52階というロケーションは、何度か来ているがそれでもやはり高揚し、またどこかは落ち着く。小雨の降る平日夜に行ったので会場はガラガラであり、暗く、日本人よりも白人の方が多かった。東京のおいしい場所には、いつも白人の方が多い気がする。

filmachineはそれ自体がひとつの部屋であり、その中に入って段差のある足下を移動しつつ、あるいは停止しつつ、明滅・移動する光と音の本流に浸されるというもの。音は全て電子的なノイズでありピアノ音などは一切無く、周囲を取り囲む形で設置された計24個のスピーカから動き回る様に放射され、また収縮する。

一セット二十分と長いが全く退屈する事なく、しかも贅沢な事にほぼ独り占めで楽しめた。縦横無尽に駆け回り、近づき、遠のき、降ってきて、湧いてくる音。特に後半に何度か訪れる大サビ?的な圧が高い時間帯は、音による耳穴の清掃という感じで、これは非常に身体的・即物的な意味で本当に気持ちよかった。あのノイズはぱっと聞きだと正にPCで作りましたという冷たい印象があるが、とてもウォーミーだと言われたらそんな気もする。とにかく言いたいのは、強烈な中毒性があるという事。

他にも、大玉転がしの大玉みたいのが敷き詰められ、それをかき分けながら部屋を進むとボール同士がぶつかって部屋全体のライティングが変化する部屋とか、触った所だけもののけ姫のコダマのような音と青い光を発するのが妙に癖になる円柱とか、丁度filmachineの入り口上部につり下げられた小さな羽が集合して巨大な回転体みたくなってるようなものなど、全体的に僕の好きなハードSF的趣向を感じ取る事ができ、とても満足した。特に回転体はそれこそBLAME!にあんなイメージが登場していた気がする。真っ白で裾の長いドレスを着た御使いかなにか、その回転の表現として。

順路の終わりには同フロアで開催されているアンディ・ウォーホル展に因んだ飲食スペースが設けられており、帰り際はそこでばかでかいウォーホルバーガーなどを食しつつ夜景を見ていた。ガラスの外は小雨に煙り、高さも距離も何もかも曖昧でえらく白々しい感じがした。バーガーはでかすぎてどこから食ってもこぼれ、対バーガーに初めてナイフとフォークを使った。飲食スペースは天井も非常に高く開放感があり、体育館の真ん中で飯を食っている様な感覚。また夜景を引き立たせるためか異様に光量を絞っており、隣のテーブルに座る人の顔すらよく見えない。ウイスキーコークはメニューに無かったが、頼んだら作ってくれた。

足下の都市には、全然人の気配が無かった。


filmachine - YouTube