23 - Blonde Redhead

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 異人種混合バンド、ブロンドレッドヘッドの七枚目。他のアルバムも好きだが中でも本作と五枚目(melody of certain damaged lemons)は非常によく聞いている。日本人女性一人とイタリア人男性二人(凄いハンサムな双子)という編成のバンドがニューヨークを拠点に活動している、という感覚がいかにもNY!だろうか。

 基本的なサウンドはソニックユース周辺のオルタナに含めていいものだと思うが、かなり異形でカテゴライズしにくい。各楽器のフレーズやメロディはとても輪郭のはっきりしたポップなものながらゴシックな雰囲気を強く帯びており、属性で言えばどう考えても光よりは闇。しかもそれは出自から想像されるようなNYなどの都会的な陰ではなく、どことなく土着的というか、湿り気のある呪術めいた雰囲気さえ漂うもの。尚、多くの曲でVoを務める紅一点カズマキノの「コケティッシュで少女性も強いのに、可愛いには回収されない」という不思議な歌声も、そのことに大きく寄与している。

 退廃的でアンニュイでエキゾチック。奇妙な果実とでもいうような形容が非常にしっくりくるバンドであり、アルバム。この奇妙なジャケットも言い得て妙という感じがする。中毒性高いです。

 ちなみに新代田のfeverという外タレがやるには大分小さめの箱で一度だけライブを見たことがあるが、完全に想像以上の演奏&パフォーマンス&サウンド(普段のfeverが悪いわけではないが、それにしてもこのライブは別格に音が良かった記憶がある。専属PAがかなりの腕利き&相当念入りに調整したのだろう)で、あの小さなステージでもそれこそ一曲目から、見事に自分達の世界を出現させていたのには正直たまげた。この箱には何度も行ったことがあって友達のバンドが出ているのを見たことなどもあったのだけど、とても同じ空間とは思えないほど場を強烈に支配・変質させていた。

 その音楽性やイメージ、何より日本では滅多にライブが観れないこと等が相俟って、あまり「ライブが上手い/上手くない」という物差しでは語られないバンドだと思うが、20年近いキャリアと且つそこだけに安住しない創造性が見事に同居した素晴らしいステージだった。


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