BRMC at 横浜ベイホール(2013.11.23)

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今回のツアー、僕は東京と橫浜を観に行った。

橫浜ベイホールは初めてだった。HPに乗っている簡単な地図をスマホに表示しつつ最寄りの元町中華街駅から街の中心とは反対方向に歩き出し、どんどん無機質で工業的、道幅が広く高速が空を閉ざす「港湾」な雰囲気のエリアに向かって行く。ある程度の規模のライブハウスは騒音やスペースの関係からこの手の地帯に作られる事は多いし、何よりスマホで地図上の目印を確認しつつ歩いているので迷うはずも無いのだが、やはり「こんな所にライブハウスがあるのか」という場所をずんずん進んでいくのでどうしても不安になってくる。そんな時は得てして通行人の中から「同じイベントに行こうとしているのであろう人」を年齢や雰囲気、服装などから何となく選別して同じ方向に進んでいるのを確認、安堵するものだが、今回は少し失敗した。

橫浜ベイホールは駅の方から見るとHOMESという巨大なホームセンターの裏手に回り、少し歩いたところにある小さな信号を渡ってまっすぐ行くとあるのだが、この信号がまたその先にライブハウスがあるとはとても思えない寂れた雰囲気でやや訝しんでいると、ふと、細身のブラックジーンズにモードっぽい雰囲気のスタジャンを着込んだスタイルの良い青年とベージュのコートが可愛らしいふわふわ女子のカップルが、この信号を渡らずにずんずん進んでいく。何の迷いもないその姿に僕はあーやはりこの信号ではないのだと思ってついていったのだが、一分くらい歩いて、次の信号が地図と違って余りにも遠いのに気付き後ろを振り返ってみると、後から来たロックファンぽい集団が件の信号を渡っていく所が見えた。これは先導を間違えたと気付いた僕は踵を返したが、カップルはまだまだ誤った方向に、2人きりでドンドンと進んでいくようだった。

会場に着くと既に入場待ちの列が出来ており、折良く直後にチケット番号順の呼び出しが始まった。ベイホールは入って目の前にまず細い階段があり、それを昇ると左に進む。そしてその突き当たりがまたT字になっていて、左手がトイレ、右手側がホールという曲がりくねった構造。肝心のホール部は広さや構造、バーカウンターの位置なども良く、正に「港湾地帯にある秘密のパーティ会場」といったような趣があって気に入った。僕はモスコミュールを飲みつつ、ギターのピーター側の柱に凭れて開演を待った。

前回のジャパンツアーから3年ぶり?に体験するBRMCのライブは、以前見た時より更に熱の籠もった素晴らしいものだった。客層も少なくとも僕の周りは良く、皆この日を心から待ち望んでいた人ばかりの様に思えた。レア曲といっていいスクリーミングガンに割とすぐ反応していたり、インライクザローズが始まった瞬間のさざ波の様な雰囲気がとても嬉しかった。年甲斐もなくピーターの目の前当たりでノリノリで観ていたのであまり冷静に聞いてはいないが、音も良かった様に思う。何よりバンドの演奏が盤石で、長年世界中を回りながら培われたライブ演奏の基礎体力の高さみたいなものを存分に見せつけられた。今回の日本ツアーではここでしかやらなかったレッドアイズなんかでは明らかにギターとベースのチューニングがずれているように思われたりもしたけど、そんな事は瑣末な事。フロントマン2人の間に漫才師の様にセンターマイクを立ててそれだけで音を拾うという演出で、あたかもキャンプファイアーの夜のような親密な雰囲気が最高だったアコースティックコーナーも含め、練り上げられたグルーブとパフォーマンス。本当に全曲楽しかった。我に返る瞬間が一回も無かった。

終演後に荷物を取り出しているとき、行き道で僕を惑わせたカップルを見掛けた。楽しげにライブ終わりの感想でも交わしている彼らには、きっと行きしなに道を誤った事も良い思い出になるんだろう。

中華街でエビチリと小籠包を食って帰宅。

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