幽霊たち - Moe and Ghosts
group_inou辺りから俄に勃興し始めた感のある文系のラップユニットだが、本作はその異端にして極北。
トラックメイカーのユージーン・カイム(友人皆無ということだろうか。ライブで見たがかなりの男前)による、メルヘンなようなドライなような、シンセなような生楽器なような、かといって創作料理というほど我が強いわけでもないという非常に捉え所のない無国籍トラックに、噂では西海岸帰りというカリスマ、萌によるファニーボイスで超絶早口なラップがのる。
歌詞はついていないので聴き取れた限りだが、萌のリリックは言葉遊びを多用しながらも首尾一貫して強烈なストイシズムや透徹した達観に裏打ちされたもので、そのクールネスは、例えば慣れ合いの様なセンチメンタルや安っぽい叙情性みたいなものを遠く置き去りにした、まさに彼岸で鳴るものだ。
そのサウンドは勿論、コンセプトやビジュアルイメージ(HPもシンプルで凄く格好よい)まで含めて久し振りにどストライクだったユニット。ちなみにレコ発ライブで見た萌は、全身真っ黒の服装に膝くらいまで伸ばした黒髪を振り乱しながらゆらゆらとラップするその姿が本当に幽霊のようで、最高にクールだった。勿論ライブでのスキルも本物。
音楽が本業という人達では無いのだろうけど、願わくばもうちょっと活動して欲しいグループの一つ。特にライブ。