八十八ケ所巡礼 at 渋谷クアトロ

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 昨日は八十八ケ所巡礼のワンマンに行った。客の入りは7割位だろうか。これ位の入り具合だと結構動きやすくて、ライブ途中にトイレに行ったり酒を買って元の場所に戻ったりといった行動がやりやすいのでそういう意味では非常に有り難いが、しかしそれにしてもこんなに才能豊かで且つ既に音源も複数枚出しているバンドが土曜の渋谷で、未だにクアトロクラスを満杯に出来ないとは。改めて絶望的だと思う。

 セットは新譜からは勿論、旧譜からもベタどころの曲は全て押さえた総ざらい的なものをやっただろうと思われる。と、見ていたのに言い方が曖昧なのは、何と四時間近くそれもほぼMCも無くやりやがったので、特に中盤は疲れていて余り記憶がないためだ。四時間って、自分が今まで見たあらゆるライブの中でも最長だと思う。とにかくこの演奏時間から、まあやってない曲の方が少ないだろうと想像する。しかし後ろの方で柵にもたれて見ていてもあんなに疲れたのに、フロアに突っ立ちで最初から最後までぶっ通しで見ていた多くの若人達。今日辺り流石に足パンパンだろう。

 彼らのライブは二回目なのでとても傾向などは語れないが、バンドの演奏にエンジンがかかってきたと感じたのは5・6曲目位からで、スロースターターな印象。それ以降もところどころでキメがずれたりする箇所はあるものの、相変わらず三人とも馬鹿高い演奏力と渦巻くグルーヴで、魅せる。特に以前見た時よりもドラムのケンズーがキレていて、終始叩きまくり、ドラムソロコーナーも経て、結局四時間叩き続けで最後まであのドラミングを維持していたのには唸った。あの肉体は伊達ではない。

 しかし今回一番耳についたのは残念ながらクアトロの音の悪さだった。僕は後方の床が一段高くなっている辺りで聞いていたからフロアや前線がどうだったのかは分からないが、音がステージ近辺で巻いてしまっているようで、会場全体にスムーズに放射されているとはとても言い難い印象。特にマーガレット広井関連の音が酷く、ベースフレーズが何弾いているのかほとんどの場面で全然判別できないのもさることながら、何よりも致命的なのは歌声のPAで、突っ込み過ぎなのか高域を強調し過ぎなのか分からないが、広井の声がほぼ全編に亘ってとても耳に痛いものにされてしまっていて、特にちょっと声を張るような箇所なんかはそれのせいで耳がキーンとなってしまって、結果暫く耳がおかしくなって他の音がよく聞こえないという、最悪の音響にされていた。

 PAの付近で見ていたから係の人もほぼ同じ音を聞いていたと思うのだけど、特にあのボーカルのモニタリングに関しては端的にやばいと思わなかったのだろうか。それともなにがしかのトラブルがあって、修正しようと四苦八苦したが結局最後まで不可だったとかそういう事だろうか。

 とにかく音質としては、同じ渋谷のduoとか代官山のユニット、恵比寿のリキッド辺りと比べると明らかに劣っていると、今日の所は思わざるを得なかった。バンドの演奏はとても良かったのでこういうのは本当に残念。

 ちなみに先行発売していた新譜はまだろくに聞いていないのだけど、とりあえずジャケットは今までで一番だろうと思う。広井の書く歌詞世界の無常感や、どこまでも諦めた上でただただ踊るような、そういう感覚がこれ以上無いくらい見事に畳み込まれている。なんかついつい見てしまうが、全然目は合わない。というような感じ。

苦苦★念仏 - 八十八ヶ所巡礼