ラブレス

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 先日新宿のディスクユニオンマイブラのラブレス、それもオリジナル盤レコードが入荷している事を偶然知ったので、帰りに寄った。試聴してみると奇跡的なコンディションで音飛びも無さそうだったので即購入(帰宅後通して聞いたが本当に一カ所も飛びやノイズがなかった)。音自体の喜びもさることながら、これでもうラブレスにアンテナを張る必要は無いという安堵の方が正直大きかったかもしれない。これがコレクター心理だろうか。踊らされている自覚はある。

 しかし新宿にはそういう虚ろな欲望(僕のレコード云々など殆どガキの遊びだけど)がよく似合う。変化するものやしないもの、美しい場所や醜い場所や中庸な場所がこれほど渾然一体と未だ併存しているのは東京でもここくらいではないか。

 金持ちも貧乏人も、若者も老人も、カタギもヤクザも、男も女も中性も、新宿には皆用向きがある。そしてそのような一切を毎日毎晩吸い込んではまた吐いて、歪な収縮を繰り返す、血色の良い臓器のような街。特に夜はそのようなイメージ。伊勢丹のゴシック建築は背骨。余談だがあれに匹敵出来るデパート建築って、日本では他にあるのだろうか。

 歌舞伎町から駅への道で、ふと気がつくとすぐ前をおそらくはビアンのカップルが歩いていて、それはもう盛大にいちゃつきながら歩いていたのだが二人ともとてもお洒落で可愛く、美しかった。やはり美しい同性同士というのは異性同士よりも、完全という概念に近いような気がする。

 そういえばどの街の女性が好みかというような楽しい話がたまにあるが、それもやっぱり新宿だと思う。