Shiver - Lucy Rose

f:id:when87:20140520230134j:plain

今期放送されているアニメの一つに「蟲師」という作品があって、そのオープニングに使われていたたため、この曲を知った。単純にとても良い曲であるのと、純和風な雰囲気のアニメのオープニングにこんな洋楽フォークを選んだスタッフのセンスなども相俟って印象には残っていて、今日の昼間に何気なくyoutubeで検索した。結果、PVでは久しぶりに掴まれ、何度も見てしまった。

内容はとてもシンプル。老人男性が一人で曇天の海岸を散策する様子と交互に、おそらくは何十年も前、全く同じ場所でまだ若い彼とその恋人が楽しそうにはしゃぐ様子が記録された古い8ミリ映像が差し込まれる。

ベタな追憶演出と言えばそれまでなのだが何だろう、楽曲の良さも相俟って、もの凄く刺さった。つくづく、思い出とは残酷だと思う。老いた肉体を抱えた彼はおそらく一人取り残され、それでも記憶や記録だけはいつまでも、むしろ時が経るにつれ輝きを増していくことすらある。それは幻想だと、あるいは過去に拘泥することなど無意味だといくら頭で理解したところで、沸き上がる感傷をどれだけせき止められるのだろう。

カラカラと回るボロボロの8ミリの中で、いつまでも美しく微笑む彼女。僕なら覚えていたいだろうか。忘れてしまいたいだろうか。

そういえば昔見たデビッド・リンチの「ストレイト・ストーリー」という映画で、主人公の老人が旅の途中で出会った若者に「年を取って一番辛い事は何?」と聞かれて、「それは若い頃を覚えている事さ」と答えていた事とかも、何となく思い出してしまった。

本当に良い曲です。


Lucy Rose - Shiver - YouTube