映画

地獄でなぜ悪い - 園子温監督

タランティーノは見たのだろうか。もし見てないなら今すぐ電話して知らせたい。二階堂ふみちゃんにギャル服着せて刀を持たせる事と、昨今のぬるい邦画界のただ中で例え血まみれになっても俺は俺の映画を撮るのだ!という園子温監督の宣言。物語などあって無…

アンビリーバブル・トゥルース - ハル・ハートリー監督

ハル・ハートリー鑑賞二作目。大傑作。これが処女作らしいけど、ありがちな詰め込み感やガチャつきは一切感じられない。それでも先に見たシンプルメンから考えると、これでもこの監督にしてはガチャついている方なのかもしれないが。 核による全ての破滅を恐…

シンプルメン - ハル・ハートリー監督

ハル・ハートリーという監督の名前は聞いたことがあった程度で作品は全然知らなかったが、ツタヤの発掘コーナーで見掛けたジャケットと粗筋が良さげだったのでレンタルして見てみたらこれが非常に良かった。当たり。世に出た当時はポストジャームッシュなん…

ブルー・ジャスミン - ウディ・アレン監督

主演のケイト・ブランシェットがアカデミーで主演女優をとった話題作。銀座シネ・スイッチにて鑑賞。ウディ・アレンという人は本当に意地悪だと思う。40年代くらいの軽妙なスウィングに乗せて綴られる物語は滑稽でそれ以上に切実だ。幾つもの会社を経営する…

悪の教典 - 三池崇史監督

面白かった。原作小説は未読。若く男前で人望も厚い英語教師蓮実が、文化祭前夜に生徒達を殺戮する。伊藤英明は初めてまともに見たが、鍛え上げられた肉体やパット見お人好しそうな表情に鮫の様な目が張り付いている顔つきなど、非常にはまり役で素晴らしか…

SOMEWHERE - ソフィア・コッポラ監督

最近「ブリング・リング」が公開されているソフィア・コッポラの前作。本作前のマリー・アントワネットが割と派手派手な絵面だった反動かどうかは知らないが、本作はとてもミニマルで静謐な作り。ホテルの室内で主人公がただ座っているのを固定カメラから1…

キャリー(1976) - ブライアン・デ・パルマ監督

※以下、ネタバレしています。 スティーブン・キング原作。本作は初めて観た時、冒頭30分こそやや失敗したかなと思ったものの、トミーがキャリーを初めて誘う当たりから俄然引き込まれて、終わってみれば流石の傑作だった。烏とロバの合いの子の様なキャリー…

ヒミズ - 園子温監督

原作漫画は何度も読んだ事がある好きな作品。本作は設定も脚本も雰囲気もまるで原作とは別物で、且つ原作の持つどちらかというと普遍的な性質に今現在の社会性を入れ込むという姿勢が特に原作ファンに受け付けないのは無理も無いが個人的には、園監督の映画…

トト・ザ・ヒーロー - ジャコ・ヴァン・ドルマル監督

フランス映画。TSUTAYAの発掘良品棚で何気なく手に取ったのだけど、傑作。 観る前は如何にもフランスな、直球の「妖しい少女」系かと思っていたが、実際はなかなかのごった煮映画だった。ミステリー要素や、ギャング映画っぽい長年に渡る男同士の愛憎入り交…

天使の涙 - ウォン・カーウァイ監督

最近ブルーレイが発売されたので購入。当たり前だが、映像が滅茶苦茶クリアになっていて非常に感動する。 前作である「恋する惑星」と兄弟のような作品だが、惑星よりも監督の色は強くなっていて、何というか格好良いシーンの格好良さも上がっているものの、…

リリィ・シュシュの全て - 岩井俊二監督

これも夏が似合う映画だと思う。岩井俊二は本作と、「花とアリス」の二本が特に好きです。 およそイノセントという言葉で表される全ての甘さと痛みが、この映画には詰まっている。よくもまあ四十絡みのおっさんが、こんなにも中学生の視線に降りていけたもの…

暗戦 デッドエンド - ジョニー・トー監督

今作は監督の熱いギャングものなんかと比べるとサスペンス要素が強く、ノワールっぽい濃厚な雰囲気はあまり無いが、反面都会的なクールネスと一匹狼同士の駆け引きや交流がより際立つ。文句無く傑作。アンディ・ラウはインファナルアフェアを観た時はルック…

アイガー北壁 - フィリップ・シュテルツェル監督

暑い。涼しい映画を。 冬山登山もので実話ベース。1936年当時のナチス体制下、アルプスのアイガー北壁初登頂に挑んだドイツ人男性2人が主人公。角度90度以上、天候も急変する死の壁を文字通り死にものぐるいで登攀する主人公達と、その格闘ぶりを麓のホテル…

水の中の八月 - 石井聰亙監督

石井聰亙が小嶺麗奈をミューズとして撮った2本の内の一作で、夏になると観たくなる映画の一つ。ちなみに同名の短編小説やドラマがありますが、本作とはまるで関係なし。たしか監督がもともと脚本を温めていたところに、たまたま目に入った上記小説の「水の…

月に囚われた男 - ダンカン・ジョーンズ監督

デヴィッド・ボウイの息子であるダンカン・ジョーンズのデビュー作。近未来、月の採掘場で働く孤独な男の話。基本的にずっと一人芝居であることや、とても静かな月面が舞台ということ、更に間の取り方などの演出面も含め、全体にとても静謐な雰囲気。見だし…

殺人の追憶 - ポン・ジュノ監督

実話を基にしたという韓国の作品。サスペンスとかミステリー映画史全体の中でも、十指に入る傑作ではないだろうか 全体的に暗く若干緑がかった画面や、要所では雨が降り注ぐ事、無惨な遺体を印象的にチラ見せする等の雰囲気はデヴィッド・フィンチャー、中で…

セブンス・コンチネント - ミヒャエル・ハネケ監督

よくもまあこんな映画を撮ったものだ。それもデビュー作で。 ミヒャエル・ハネケの映画はファニーゲームだけは見た事があったので、本作も勿論それなりの覚悟を持って観賞し始め、そして事実結末は予想通りではあったのだが、それでも尚思っていた以上の衝撃…

菊次郎の夏 - 北野武監督

たけしらしいとか言えるほど彼の映画を見ていないが、ソナチネなんかでも印象的だった全体的に抑制の効いた冷ややかな感触は、やはりらしいなあと思う。あと、専用のそれらしいセットまで用意して麿赤児に舞踏をやらせたり、本人もうっすらタップをしてみた…

口裂け女2 - 寺内康太郎監督

夏なのでホラーを観賞。ちなみに前作は見ていないが、どこかのサイトで、前作と直接つながりは無いという感想を観たので信用した。尚この手の題材の映画ってどうしても二時間ドラマの延長の様なちゃっちい印象を持たれがちで、事実そういうものも多いが、本…

女と男のいる舗道 - ジャン=リュック・ゴダール監督

ゴダールは(正直難しくて!)余り見ていないのだが、本作は分かりやすくて好きなので映画棚の箔つけも込めて、最近発売されたブルーレイを買った。今作の頃はゴダールとアンナ・カリーナのつき合い始めだったっけな。「○○のミューズ」という言い方を僕が初…

セイジ 陸の魚 - 伊勢谷友介監督

夏の映画。 サントラが非常に良かった本作は、イケメン俳優伊勢谷友介、8年ぶり2作目の監督作ということだった。特に日本で、俳優の監督作でろくなものを見た記憶が無いので余り期待していなかったがかなりよかった。舐めていたことを詫びたい。尚、原作小…

スプリング・ブレイカーズ - ハーモニー・コリン監督

ハーモニー・コリン監督作を初観賞。蛍光色のビキニに下は短パンというださいスタイルに、だらけた姿態を奔放にさらけだすチラシのビジュアルが最高過ぎて、家ではチラシを飾り、出先では携帯の待ち受けにする程気に入っており、それだけでも結構満足してい…