六義園 夜

少し前だけど、夜の六義園に月と紅葉を見に行った。毎年、紅葉の盛りの数週間はライトアップした上で夜も開園しているもの。 雨が降った翌日で空気は凍りそうに冷たかったが、それが朧な庭園の様子や冷たい月によく似合っていた。暗くぬかるんだ地面を歩いて…

銀座教文館書店

キリスト教系書店としてお馴染みの教文館ですが、四階のグッズショップに行ったのは初めてでした。「八本脚の蝶」に記述があったこのお店でメダイ、というものを見てみたくなったため。エインカレムという、何語か分からんが綺麗な店名。 入ってみると結構ゴ…

THE MIRROR - 名古屋商工会館

先週金曜の夜、銀座でTHE MIRRORと題された展覧会に行った。これは名古屋商工会館という取り壊しの決まっているビルをどうせならまるまる使って、色んなアーティストの作品を展示しようというもので、この手の試みは大体好きなのだけど案の定面白かった。 特…

八本脚の蝶 読了

知っていた結末とは言え、やっぱりとても悲しい。 最近この本の事を知って昨日初めて読み終えた自分には、まるでつい最近の出来事の様な気がしてしまう。ここに書かれている通り本が世界の似姿であるなら、それは勿論人間でもあるだろう。知りあったばかりの…

八本脚の蝶 - 二階堂奥歯

穂村弘さんがどこかで紹介していたのを何の気なしに図書館で借りて今半分位まで読んだところだけど、凄い。圧倒的な読書量から来る膨大な知識を下地として、哲学、文学、絵画、服飾などに纏わる広大なイメージの森を縦横無尽に飛び回る、幻の蝶。想像力と洞…

A LITTLE FABLE - ASPIDISTRAFLY

シンガポールのユニットで、これは2011年のアルバム。最近再発盤が出て知ったのだけど、この手のアルバムでは久しぶりにはまった。突出したレベルのアートワークと、ありえないくらいハスキーな女声ボーカルが非常に良い。場末のバーのママのような貫禄ある…

水槽、バレット・バレエ

画像と本編は全く関係なく、以下ただの愚痴です。 先日非常にくさる出来事があって、全くそのせいというわけでもないのだけど久しぶりにたちの悪い飲み方をして二日酔いになった。といっても僕の場合は次の日に来るのではなく、飲んだその日の夜中、ガンガン…

ボール - ヴァロットン

日曜美術館で取り上げられていたヴァロットンという画家の諸作が非常に良さそうで、展覧会に行きたい。もとはスイスの人らしいけど、欧州でも長く埋もれていて再評価されて広く知られる様になったのはここ最近のことらしい。(ただ番組によると、澁澤龍彦は…

地獄でなぜ悪い - 園子温監督

タランティーノは見たのだろうか。もし見てないなら今すぐ電話して知らせたい。二階堂ふみちゃんにギャル服着せて刀を持たせる事と、昨今のぬるい邦画界のただ中で例え血まみれになっても俺は俺の映画を撮るのだ!という園子温監督の宣言。物語などあって無…

アンビリーバブル・トゥルース - ハル・ハートリー監督

ハル・ハートリー鑑賞二作目。大傑作。これが処女作らしいけど、ありがちな詰め込み感やガチャつきは一切感じられない。それでも先に見たシンプルメンから考えると、これでもこの監督にしてはガチャついている方なのかもしれないが。 核による全ての破滅を恐…

シンプルメン - ハル・ハートリー監督

ハル・ハートリーという監督の名前は聞いたことがあった程度で作品は全然知らなかったが、ツタヤの発掘コーナーで見掛けたジャケットと粗筋が良さげだったのでレンタルして見てみたらこれが非常に良かった。当たり。世に出た当時はポストジャームッシュなん…

美しい日々 - バルテュス

先日、上野にバルテュス展を観に行った。 暗い室内の椅子にだらりと腰掛ける少女、猫。手鏡。展覧会には結構風景画なんかもあってそれも決して悪くなかったような気はするが、全く印象に残っていない。 奇妙にねじ曲がったようなポーズや、ベタッとしてまる…

Shiver - Lucy Rose

今期放送されているアニメの一つに「蟲師」という作品があって、そのオープニングに使われていたたため、この曲を知った。単純にとても良い曲であるのと、純和風な雰囲気のアニメのオープニングにこんな洋楽フォークを選んだスタッフのセンスなども相俟って…

ブルー・ジャスミン - ウディ・アレン監督

主演のケイト・ブランシェットがアカデミーで主演女優をとった話題作。銀座シネ・スイッチにて鑑賞。ウディ・アレンという人は本当に意地悪だと思う。40年代くらいの軽妙なスウィングに乗せて綴られる物語は滑稽でそれ以上に切実だ。幾つもの会社を経営する…

YOU - ART SCHOOL

アートスクールはセカンドの頃くらいまではよく聞いていたが、余りに何度も繰り返されるベタベタな退廃趣味、少女性への畏怖や憧憬といった広がりの無い歌詞世界に主に興味を失い、ながらく聞いていなかった。が、先日ふと目に入った本作を何となく試聴して…

filmachine - 渋谷慶一郎+池上高志 at 六本木ヒルズ52F

少し前に六本木ヒルズで開催されていたMedia Ambition Tokyoというテクノロジーアートのイベントに行った。もちろん以前から体験してみたかったfilmachineが目当てだったが、元々この手は好きな方なので全体的に楽しみにしていた。巨大なビルの52階というロ…

SENSE WISENESS - WISESENSEI

友人が貸してくれて最近よく聞いている。 初聴時は正直ピンとこなかったけど、ほとんどシンプルなベースとドラム、あとは音数少なめのピアノがたまに踊る位のスカスカと言っていいトラックに、迫力はあるのだけど決して高揚はしていかない、どこか抑圧された…

曇り

叔母が死んでしまった。先日京都で、また会おうねと言って手を振ったのが本当に最後になってしまった。 悲しい。でも、もっともっと後から後から、実感のようなものが押し寄せるのだろう。空しい。自分たちより一つ上の世代で最初に死んでしまったのは、より…

悪の教典 - 三池崇史監督

面白かった。原作小説は未読。若く男前で人望も厚い英語教師蓮実が、文化祭前夜に生徒達を殺戮する。伊藤英明は初めてまともに見たが、鍛え上げられた肉体やパット見お人好しそうな表情に鮫の様な目が張り付いている顔つきなど、非常にはまり役で素晴らしか…

鴨川

親族の結婚式に出席するべく久々に帰省。式場は京都だったのけれど、随分久しぶりに鴨川沿いなど歩いた。 結婚式に限らず式はあまり好きではないので基本的に不愛想することが多いのだが、近年大きく体調を崩してしまっている叔母が今回は病院を抜け出して、…

SOMEWHERE - ソフィア・コッポラ監督

最近「ブリング・リング」が公開されているソフィア・コッポラの前作。本作前のマリー・アントワネットが割と派手派手な絵面だった反動かどうかは知らないが、本作はとてもミニマルで静謐な作り。ホテルの室内で主人公がただ座っているのを固定カメラから1…

病める子 - エドヴァルド・ムンク

日曜美術館でムンクが再放送されていた。 この人の作品で有名なのは何と言っても「叫び」だろうが、本作のような傾向の作品も多く残しているようだ。彼は幼い頃に結核で母を亡くし、また思春期には一歳違いの姉を同じく結核で無くしている。この絵はその時の…

渋谷慶一郎 Playing THE END at 表参道スパイラルホール(2013.12.28)

今年のライブ納めとして渋谷慶一郎のピアノソロコンサートに行った。会場は表参道の瀟洒なビルの三階のホールで、同ビル一階のカフェも、広くてピアノがあって、印象的だった。 舞台演出は去年のfor mariaコンサートと同じ様な感じで、中央に要塞のようなピ…

downy at 渋谷www(2013.12.18)

9年振りの新作が物凄く良かったダウニーのワンマン。今年は最期に真打ちが来たかと発表当時から凄く楽しみにしていたライブだったが、いまいち不完全燃焼だった。理由は一にも二にもPAのまずさ。僕の好みの音質では全く無かった。全体的にハイが強めのサウ…

キャリー(1976) - ブライアン・デ・パルマ監督

※以下、ネタバレしています。 スティーブン・キング原作。本作は初めて観た時、冒頭30分こそやや失敗したかなと思ったものの、トミーがキャリーを初めて誘う当たりから俄然引き込まれて、終わってみれば流石の傑作だった。烏とロバの合いの子の様なキャリー…

BRMC at 恵比寿リキッドルーム(2013.11.25)

橫浜の時は知らなかったのだがサイン会があったらしいとの噂を聞きつけ、公式サイトなどを見て回ると、フェイスブックに詳細がアップされていた。先着50名との事で、何となく有給を取得しておいて本当に良かったと安堵する。サインは当然レコードにして貰お…

BRMC at 横浜ベイホール(2013.11.23)

今回のツアー、僕は東京と橫浜を観に行った。 橫浜ベイホールは初めてだった。HPに乗っている簡単な地図をスマホに表示しつつ最寄りの元町中華街駅から街の中心とは反対方向に歩き出し、どんどん無機質で工業的、道幅が広く高速が空を閉ざす「港湾」な雰囲…

After the noise is gone - Rayons

本作を聞くのに良い季節になってきた。 中井雅子さんという音大出身の方のソロプロジェクト。六曲中三曲にプリドーンがボーカルとして参加しており、残りはインスト曲。本作について、「ポップ寄りでメロディのはっきりしたポスト・クラシカルなアルバム」と…

ヒミズ - 園子温監督

原作漫画は何度も読んだ事がある好きな作品。本作は設定も脚本も雰囲気もまるで原作とは別物で、且つ原作の持つどちらかというと普遍的な性質に今現在の社会性を入れ込むという姿勢が特に原作ファンに受け付けないのは無理も無いが個人的には、園監督の映画…

Laideronnette - matryoshka

1stから5年の時を経て世に出されたマトリョーシカの2nd「レドロネット」。物凄く楽しみにしていた一枚だった。ラヴェルの組曲に登場する、世界一醜い女王の名から取られたというこのタイトルがまず衒学的でたまらない。 ただ楽曲を聞いてみると、構築の奥行…